”径路(けいろ)未だ知らず。岐(ちまた)に臨んで幾度(いくたび)か泣く。”
出典:遍照発揮性霊集
岐路を前にして、どの道に進むべきかわからず、何度も涙をこぼした若き日の弘法大師。
泣くほど思い悩むこともあったでしょう。そんなときには、自分を信じて突き進む。
その経験によって本物の力を身につけることができるのです。
人生を生きていくうえで、必ずどこかで壁にぶち当ることがあります。
小学校の時かもしれないし、高校生、社会人になってからかも知れません。
その時に、どう向き合うか、どのようにして解決するかがその後の人生に大きな影響を与えることになります。
重要な事は、子供の頃に小さな壁を自らの努力で越えていくこと、この達成感を得ることができているか。
このことが非常に重要です。
いきなり大きな壁を目の前に置かれたら、子供じゃなくても諦めてしまいます。
子供がギリギリ超えられるかどうかの壁ならば、その壁に立ち向かい、努力によって乗り越えることが可能です。
そんな小さな積み重ね、スモールステップを繰り返すことで、いずれぶち当たるであろう大きな壁を乗り越えられる力を身につけることができるのです。
私たちは、自分ができなかったことを子供に託してしまいがちなところがあります。
自分ができなかった、達成できなかったことを子供に託し、過度の期待を持つことで、それがプレッシャーになり、通常体験する壁よりも大きい課題を与えてしまいます。
そうなるとどうなるか、子供は親から進められるものがいやになり、壁に向き合わなくなります。
一方、子供が可愛いばかりに、子どもの前に立ちはだかる壁を次々と取り除く親がいます。
この場合は、親の保護から独り立ちした時に、突然大きな壁が立ちはだかり、到底自分の力では乗り越えられない状態に陥ります。
この場合は、壁に向き合わず、常に本質から逃げ出す結果となります。
「親はなくても子は育つ」
という言葉があるように、子供は自ら考え、解決策を導く能力を持っています。
過度の期待を抱くのではなく、今の状態からちょっとだけ成長できるよう見守ってあげることが大切なのです。
金八先生も言ってるじゃないですか。
「親」という字は、「木」の上に「立」って「見」るって書くと。