”孤雲(こうん)定まれる処(ところ)無し、本(もと)より高峰(こうほう)を愛す。人里(じんり)の日を知らず、月を観て青松(せいしょう)に臥せり。”
出典:遍照発揮性霊集
高野山を下りてきてほしいという催促の手紙に対して「ひとところに定まることのない浮浪雲のように高い山の峯を愛し、人里での生活を送るより、ただ月を見上げ、松の木のもとで眠りにつくのが無上の幸せだ」と弘法大師はいいました。
人の甘言や依頼があったとしても、自分の信念を貫くべき時が誰にでもあるものです。
「信念に従う」
あくまで、いろいろな経験をした上で、その判断が求められるということです。
何も経験をしていないのに、自分の考えだけにとらわれるのは、ただの愚か者です。
様々な経験をして、自分の考えが熟成された上で、信念をもてるようになるのです。
このことをまず理解しなければ、全くの誤解を招くことになってしまいます。
人より多くの経験を求めることで、さまざまなことが見えるようになり、自分自身の貫くべき道が開けるようになります。
道が見えたのなら、どんな誘惑があったとしても、心を揺さぶられてはいけないのです。
自分が進むべき道を見定めて、一心不乱に進んでいくことが求められているのです。