”妙薬凾(みょうやくはこ)に満つれども、嘗めされば益(えき)無し。珍衣櫃(ちんいひつ)に満つれども著(き)ざれば則ち寒し。”
出典:遍照発揮性霊集
よく効く薬があっても、それを飲まなければ効き目は現れず、高級な衣類もそれを着なければ寒さを凌ぐことはできません。
同様に、いくら知識があろうとも、それを生かさなければ、まったく意味はありません。
仕事は道具だという言葉がある一方、どんな立派な道具があったとしても、それを使いこなすだけの腕がなければ、ただの宝の持ち腐れです。
ものすごく効く薬があるのに、もったいないからとか、もっとひどいときに使おうと思っていて、更に悪化してしまったときにはすでに遅いのです。
同様にこんな話があります。
一生懸命ためた大金を金に変えて、裏山に隠していたAさんがいました。
Aさんが夜な夜な裏山に出かけて行くことを不思議に思った近所の悪党が裏山を調べたところ、
びっくりするような金が出てきて、それをもって、トンズラしてしまいました。
金を取られたことに気付いたAさんが嘆いていると、Bさんがいいました。
「どうせ使う気がなかったんだから、石を隠して金だと思っておけばいいんだよ」
どんなものでも、価値の無いものはありません。
しかし、使い方によっては、まったく価値を持たないものもあります。
なにが価値があるのか、どのような価値が生まれるのか、それはあなたの気持ちの持ち方一つなのです。