”邪見(じゃけん)を発起(ほっき)すべからず、善根(ぜんごん)を断ずるがゆえに。”
出典:秘密三昧耶仏戒義
あなたが少しずつ積み上げたきた良い行いも、ちょっとした一つの悪い行いによって、すべてがもろくも崩れ去ってしまいます。
もしあなたが、悪行によって失うものの大きさを、ほんのすこしだけ思い起こすことができるのであれば、その場限りの誘惑や出来心によるダークサイドへの誘いに惑わされることはないでしょう。
良い行いを日々続けることはもちろんですが、積み上げてきた善い行いも、ちょっとした悪い行いによって、全てを台無しにしてしまうことがあります。
このこととは、反対のことですが、
普段、悪いことばかりしている不良が、ちょっと良いことをしただけで、ちょっと気持ちを入れ替えたのかと思われたりします。
逆に、普段から真面目な中学生が、ほんの気の迷いで、たばこを吸った時に先生に見つかってしまったら、一瞬にして不良というレッテルを貼られてしまいます。
このようなことがなぜ起こるのかというと、
人は、今現在のことにフォーカスし、今どうなのかということしか評価しないからです。
逆説的に考えると、普段から真面目に生活している人に対しては、「実は裏で何をやっているかわからない」と思い、普段から悪いことをしている人には、「もしかしたら、いいところがあるかもしれない」という思いを潜在的に抱えているのです。
表に出ている部分が、プラス面に傾きすぎていると、マイナスの力が働き、マイナス面が強すぎれば、プラス面を見ようとする力が働くわけです。
なので、バランスが重要なのです。
これは、適度に悪いことをしろということではありません。
完璧すぎることは、大きなマイナスの力を生み出すことがある
ということを理解していただきたいのです。
自分の弱い面を見せることで、他人からの期待度が下がります。
必ず、人には弱い面があるはずです。
その弱い面を、影響のない範囲で見せていくことで、相手にとって近い存在でありながら目指すべき存在になりえるわけです。
どうしても、完璧な人には、完璧を求めてしまい、結果、何かマイナスのことがあれば、積み上げてきた信頼が地に落ちてしまうのです。
このことを理解した上で、バランスを保ちながらも、ダークサイドへの誘いをかわして、自分の経験を積み、自分の価値を高める行動を起こすようにしましょう!